「永続地帯2020年度版報告書」

レポート

固定価格買取制度の導入後はじめて、風力発電・地熱発電の伸び率が太陽光発電の伸び率を上回る -「永続地帯2020年度版報告書」の公表

2021年4月15日

千葉大学倉阪研究室 + 認定NPO法人環境エネルギー政策研究所

千葉大学倉阪研究室と認定NPO法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を進めています。「永続地帯」研究の最新結果では、2020年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を推計しました(一部は実績値を採用)。

アイコン

永続地帯2020年度版報告書 4.94 MB

...
アイコン

永続地帯2020年度版報告書ー都道府県分析 3.98 MB

...

今回の試算の結果、以下の事実が明らかになりました。

  1. 固定価格買取制度の導入後はじめて、2019年度に太陽光発電の対前年度伸び率(6%増)を、風力発電(12%増)と地熱発電(13%増)の伸び率が上回りました。環境影響評価手続きなどを経た大型案件が運転開始したためと考えられます。一方、固定価格買取制度の対象外である、再生可能エネルギー熱供給は、4%減少しました。(表1)
  2. 地域的エネルギー自給率の都道府県別ランクで秋田県が1位となりました。自給率トップ3都道府県は40%を超え、トップ10都道府県が30%を超えました。自給率ランク1秋田県45.1%、2大分県43.3%、3鹿児島県41.5%、4群馬県37.6%、5宮崎県37.0%、6三重県34.0%、7福島県32.8%、8熊本県31.0%、9栃木県30.4%、10茨城県30.3%
  3. 域内の民生・農林水産業用エネルギー需要を上回る地域的な再生可能エネルギーを生み出している市町村(エネルギー永続地帯)の数が、2019年度に138になりました。域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)は、226に増えました。
  4. 日本全体での地域的な再生可能エネルギー供給が2019年度に民生+農水用エネルギー需要の15.6%に。
  5. エネルギー永続地帯138市町村のうち、食料自給率も100%を超えた市町村(永続地帯)は10市町村増加し、2019年度に80市町村になりました。(表2)。

表1 再生可能エネルギー供給の推移(全国)

注)2017年度から2019年度の数値は今回集計した数値。2019年度/2011年度を算出するために用いた2011年度の値は、「永続地帯2014年度版報告書」(2015年3月公表)の数値。PJ(ペタジュール)=1015J

☆ 表2 永続地帯市町村一覧(住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる市町村)

【北海道:16】稚内市、紋別市、森町、江差町、上ノ国町、せたな町、蘭越町、ニセコ町、苫前町、幌延町、壮瞥町、安平町、様似町、更別村、豊頃町、白糠町、
【青森県:6】深浦町、七戸町、横浜町、六ケ所村、東通村、新郷村、
【岩手県:5】八幡平市、雫石町、葛巻町、軽米町、一戸町、
【宮城県:3】蔵王町、七ケ宿町、大郷町、
【秋田県:5】湯沢市、鹿角市、にかほ市、三種町、八峰町、
【山形県:3】朝日町、大蔵村、遊佐町、
【福島県:4】下郷町、柳津町、小野町、川内村、
【栃木県:3】那須烏山市、塩谷町、那珂川町、
【群馬県:3】長野原町、嬬恋村、昭和村、
【富山県:1】朝日町、
【石川県:2】志賀町、宝達志水町、
【山梨県:1】北杜市、
【長野県:5】小海町、長和町、飯島町、信濃町、栄村、
【三重県:1】多気町、
【鳥取県:1】伯耆町、
【岡山県:2】鏡野町、久米南町、
【徳島県:1】阿波市、
【愛媛県:1】久万高原町、
【高知県:1】大月町、
【福岡県:1】赤村、
【熊本県:6】小国町、西原村、山都町、錦町、水上村、相良村、
【大分県:2】豊後大野市、九重町、
【宮崎県:3】川南町、都農町、五ケ瀬町、
【鹿児島県:4】長島町、湧水町、大崎町、南大隅町

「永続地帯市町村」:域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村であって、カロリーベースの食料自給率が100%を超えている市町村

報告書本体は、永続地帯Webサイト https://sustainable-zone.com/ 環境エネルギー政策研究所Webサイト https://www.isep.or.jp/ からアクセスしてダウンロードをお願いします。

本件連絡先はこちら(千葉大学 倉阪秀史、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直)

  

 

タイトルとURLをコピーしました